閃かない。
私は仕事をやめていくつか取り組んでみたいことがあった。
そのうちの一つが文章を書くことなのだが、小説にどんなストーリーを書くかここ一週間ずっと考えているが、全く閃かない。
天才というものは、ある日パッとアイデアが天から降りてくるかのうように閃くのだろうか。私は一週間悩んでも全くいいアイデアが浮かばないので、凡人確定だ。
ここ一週間で得たものがあるとすれば、凡人にとっての「閃き」というのがどういうものか分かった気がするということだ。
私は物忘れをしたとき、よく「あいうえお」順で思い出そうとする。
例えば人の名前を忘れたとき、「あ」から始まる名前だったかなと思いを巡らせ、しっくりこないと「い」から始まる名前を連想する。次は「う」。そうやって順番にしていき、忘れた名前を思い出そうとする。50音順で一巡してもピンとこなかったら、次はもっと細かく同じ作業をする。「ああ」「あい」「あう」のように。
そうやっても思い出せないことも多いのだが、思い出せるときもある。つまりは、手間暇をかけたシラミ潰し作戦だ。
私がここ一週間で得たのは、「閃き」も同じではないか、ということだ。
おそらく私なりにしっくりくるストーリーというのが、きっとどこかにある。だが、そこに辿り着けない。だから、色んなストーリーを考える。色んなパターンで考える。色んなものを見る。そうしているうちにどこかで、それに辿り着くというわけだ。
思い出そうとしていた人の名前が「あおき」だったときのように、たまたま運が良ければ、「これだ」というものに早くぶち当たる。もし「わだ」だったら、時間がかかる。
凡人にとっての「閃き」とはそういう手間暇をかけて辿り着く作業なんだと思うのである。
とはいえ、閃かないから、テーマ変えようかな…。
あきらめも肝心。